アジア太平洋地域からの観光支出額、世界トップに【レポート】

(AFP通信 シンガポール

 

主に中国人旅行者の爆発的増加の影響により、アジア太平洋地域からの海外旅行者がもたらす経済効果が、10年以内に欧米市場を追い越すだろうとの報告があがりました。

 

欧州連合(EU)やアジア諸国は近年、中国人観光客のためにビザ申請の手続きをより簡易化する方針だ。

 

©jan kranendonk/shutterstock.com

 

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旅行業界向けICTソリューションのアマデウス(Amadeus)社による報告書によると、アジア太平洋地域からの観光客による支出は、世界全体で占める割合が2012年の25%から、40%のシェアに拡大し、2023年までにはおよそ7530億ドルに達するだろうとの見込みです。

 

 

2012年には45%を占めていたヨーロッパからの旅行者は減少傾向にあり、世界全体で見た海外旅行支出が34%程度にまで落ち込んでいくだろうと分析しています。

 

 

この調査結果は、多くの人が既に直感している、アジア諸国のグローバル社会での地位向上、そして専門家が言うところの「アジアの世紀」に到達したことを強調する結果となりました。

 

 

アマデウス・アジア·パシフィック(Amadeus Asia Pacific)取締役社長・エンジェル・ギャレゴ(Angel Gallego)氏は、声明で次のように述べています。

 

 

「我々観光業界・旅行業界の思惑がどうであれ、いまやアジア人による海外各地への旅行は増加の一途をたどり、現状では消費ニーズに対策が遅れる危険を冒してでも、この世界最大の市場に適応するビジネスを展開する必要性がある」

 

 

1月に中国の国営英字紙「中国日報(China daily)」が伝えたところによると、中国からの海外渡航者数による消費額は2012年には1020億ドルに達し、長年トップを誇っていたドイツやアメリカを抜いて、世界最大規模となりました。

 

 

さらに、2013年はその記録も突破更新していることはほぼ確実であるとの見方を追記しています。

 

アマデウスの報告書では、今後10年間で見ても、アジア太平洋地域からの海外渡航者数は年平均15%ずつの割合で増加し、その前の10年間からほぼ倍加の勢いで、他の地域と比べても驚異的な速さで推移することが予想されると述べられています。尚、この報告書データはオックスフォード大学の提携する経済コンサルティング会社・オックスフォード・エコノミクスの調査結果を元にしています。

 

 

報告書は、この増加原因を中国からの旅行者数が爆発的に伸びたことよるものとしています。

 

アジアにおける経済大国は、海外渡航者の世界最大の供給源として今年はついにアメリカを凌駕し、2017年までには世界最大市場に発展する見込みです。

 

 

2005年時点にはたった1%だった中国からの海外渡航旅行シェアは、2023年までには20%に達し、世界経済に極めて大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

 

 

中国経済はこの10年の間に急成長し、突如として中産階級に仲間入りした中国人の多くは、海外旅行に極端に飢えています。

 

 

欧州連合(EU)やアジア各国は、こうしたドル箱的な存在を積極的に誘致するため、近年、中国人観光客のビザ申請手続きの緩和措置をとる動きを見せています。

 

 

報告書はまた、次の10年での海外旅行による経済成長率は年間5.4%拡大すると予測しており、これは同期間の世界のGDP国内総生産)3.4%を上回る勢いです。

 

 

 

海外出張など、ビジネス目的の旅行においても、2008年後半に見舞われた世界的な金融危機からの回復が期待されています。報告書の予測対象期間中に、アジアはグローバルなビジネス旅行全体の55%を占めるようになることも予測されています。 ヨーロッパ観光にはもっと中国人が増えるでしょう。

 

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